こちらも真理子さんのブログに寄稿した内容です。
前回、前々回はチビトロニクスを使ったカードの基本編、応用編ということでプッシュ式スイッチとエフェクトステッカーを使ったカードの作り方を紹介しました。
今回はさらに一歩進んでプルタブ式のスイッチを使ったミニカードの作り方を紹介します。
こちらのカードはプルタブを引くとチビトロニクスが光るようになっています。
プッシュ式のスイッチの場合、センチメントなどをスタンプしたところをスイッチにしなくてはいけなくて、デザインに制限ができてしまいます。
プルタブ式の場合はスタンプを押したところとは関係のない場所にスイッチを作ることができるので、比較的自由にデザインすることができるようになります。
それに加えて最大のメリットはカードの厚みを薄くすることができることです。
プッシュ式スイッチでは電池とスイッチが接触しっぱなしにならないように、ある程度余裕を持った厚みにしなくてはいけないので、カードの厚みが最低でも3mmほどの厚さになってしまいます。
プルタブ式スイッチではその心配がないのでカードの厚さを電池の厚さぎりぎりまで薄くすることができます。
同じデザインのカードをプッシュ式スイッチとプルタブ式スイッチで作ってみたのがこちらの写真です。
こちらの二つ、前から見るとそんなに違いはないように見えますが、横から見るとその差は歴然です。
上がプッシュ式、下がプルタブ式なのですが、厚さが全然違いますよね。特に今回のようなミニカードではあまり分厚いとカードがなんだがもっさりして見えてしまいます。
ということで、ここからはプルタブ式スイッチの作り方をご紹介します。
今回はピンクのチビトロニクス【CP】と銅箔テープ【CP】を使いました。
ここで、銅箔テープについて注意点を。
銅箔テープはチビトロニクスの正規品以外にもさまざまな種類のものが市販されています。私も光るカードを作り始めた初期のころは市販の安いものを購入して使っていました。でも、だんだん複雑なものを作るようになっていくと、使う銅箔テープによって成功したり失敗したりすることがあるのが分かってきました。調べてみると銅箔テープにもいろいろな種類があり、安いものは粘着面の側には導電性がなかったり、厚さが薄くて切れやすかったりするものがあるんです。そして正規品を使ってみてびっくり!圧倒的に使いやすくて失敗しないのです。それからは正規品しか使わないようになってしまいました。これから紹介するプルタブ式回路は安い銅箔テープを使うと接触不良になりがちなので、ぜひ正規品を使うことをお勧めします。(ちなみに正規品と同性能の銅箔テープも市販されてはいますが、正規品より短いのに値段が高かったりします。)
使用したスタンプはフローラ&フォーナの UNICORN MAGIC【CP】と
サヴィスタンプの Dots【CP】
ローンフォーンの push here
ワッフルフラワークラフトの Lacy Layers die【CP】です。
準備するペーパーはこちらです。
- ピンクのカードストック(ローンフォーンの guava【CP】)5.5 x 4 インチ
- 白のカードストックを Lacy Layers の三番目に大きなダイでカットしたもの2枚
- プルタブパーツ2枚 0.5 x 2 インチ
- スイッチパーツ2枚 0.5 x 0.5 インチ
- 厚めのトレーシングペーパー 1 x 2 インチぐらい
プルタブパーツの角を1/8インチのコーナーチョンパーでカットして、PULL HERE のスタンプを押します。
それにしてもこのユニコーンの手足、なんでこんな風に生えてるの~(笑)
ユニコーンの自転車の下半分をこんな風にマスキングして、Dots のスタンプを押します。
Dots スタンプはローンフォーンの manatee【CP】で押しました。
スタンプし終わったら、ユニコーンの角の部分をクラフトナイフで切り抜きます。
もう1枚の白のカードストックに重ねて、光らせたい部分に鉛筆で印をつけます。今回はユニコーンの角の真ん中辺りを光らせることにします。
それでは回路を作っていきます。
今回は右下の部分にプルタブスイッチを作るので、スイッチの位置を書きこみます。
- カードの下から 1/2 インチのところから 1/4 インチ間隔で3本の線を引きます。今回はちょうどスカロップの位置にぴったり合いました。
- 真ん中の線には右端から 1/4 インチのところと 1 1/4 インチのところに印をつけます。(ここにスリットを作ります。)
真ん中の線につけた印のところをクラフトナイフで切って、幅1mm、長さ1インチのスリットを作ります。この時、スリットの幅が広いと接触不良になってしまうので気をつけてください。
鉛筆で回路を書きこみます。
チビトロニクスのマイナス側(とがった方)は直接電池とつなぎ、プラス側(広い方)はスリットを垂直に横切るように書きます。
回路に銅箔テープを貼る前に、電池の位置に両面テープを貼っておきます。
マイナス側の回路に銅箔テープを貼っていきます。電池のところまできたら、下の写真を参考にして銅箔テープを貼ります。
- 両面テープの剥離紙をはがします。
- 両面テープの上に銅箔テープを貼ります。
- 銅箔テープを折り返します。
- 1cmほど残してカットします。
電池が銅箔テープとしっかり接触していないと接触不良を起こしてチビトロニクスが光らなくなってしまうので、確実に銅箔テープと電池が接触するように試行錯誤した挙句、今のところこの方法に落ち着きました。
プラス側の回路にも銅箔テープを貼っていきます。プラス側にはスリットがあるので、まずはスリットのところから貼り始めます。
銅箔テープの先端をスリットに差し込んで
裏側に1cmほど銅箔テープを貼ります。
そこから表側に銅箔テープを貼っていきます。
電池のところまで来たら今度は両面テープの上には貼らずに2cmほど余分を残してカットしておきます。
スリットの反対側にも同じように銅箔テープを貼ります。貼り終わったらボーンフォルダーなどで銅箔テープを上からこすってしっかり貼りつけておきます。
裏側はこうなっています。
印の位置に電池を貼りつけます。
- 両面テープの上の折り返した銅箔テープの上に、電池をプラスを表にして置き、しっかり貼りつけます。
- プラス側の銅箔テープを電池の上に貼り、電池の真ん中辺りでカットします。
- 電池の側面には銅箔テープをきっちり沿わせず、右下の写真のようにやや斜めになるようにして貼っておきます。
ピンクのチビトロニクスを印の上に貼って、さらに電極の上に銅箔テープを貼って補強しておきます。
プルタブ式スイッチの場合、電池の部分が少しでも浮いていたりすると接触不良になりやすく、チビトロニクスが光らなかったりするので、コンダクティブファブリックテープ【CP】を持っていたら、下の写真のように電池の上にファブリックテープを貼っておくと、安定して通電しやすくなります。(持っていなければこの工程は省いてくださいね。)
他にもファブリックテープは、カードが折れ曲がるところの銅箔テープの上に貼って補強したり(下の写真の青の矢印)、回路の分岐するところに貼ったり(赤の矢印)
はんだ付けする代わりに導電糸を銅箔テープの回路に固定するのに使ったりできる優れもののテープです。
両面ともに導電性があるしなやかな布テープなので、銅箔テープと違って曲げ伸ばしを繰り返しても切れたりせず、複雑な回路を作るときなどは持っていると重宝します。現在予約受付中ですので、この機会にぜひ!
ファブリックテープについて熱く語ってしまいましたが、話を戻して今度はスイッチパーツを作ります。
- 0.5 x 0.5 インチの正方形のカードストックを半分に折ります。
- スイッチパーツをスリットの右端に寄せて、台紙側に貼ってある銅箔テープと同じ位置になるところに銅箔テープを貼ります。
- スイッチパーツをいったんスリットから抜いて、ぐるっと一周銅箔テープを巻いて十字型のパーツを作ります。
- できたパーツをもう一度スリットに差し込みます。
できたスイッチパーツを右端に寄せるとチビトロニクスが光ります。
- スイッチパーツをスリットの左端に寄せて、表と裏に両面テープを貼ります。
- スイッチパーツの表と裏にプルタブパーツを貼りつけます。
- 2枚のプルタブパーツは厚さ1mmのフォームテープで貼り合わせます。
プルタブパーツを貼るとこんな感じになります。
これで回路側は完成です!
ここまで来たらあと一息です。
トレーシングペーパーを二つ折りにして、ユニコーンの角をステイズオンで押します。
スタンプしたトレーシングペーパーを、表紙の裏から貼りつけます。
これを先ほど回路を貼った台紙に貼りつけて、さらに二つ折りにしたピンクのカードストックに貼りつけたら完成です。
プルタブを引くと、ユニコーンの角が光ります。
プルタブ式のスイッチの作り方、わかりましたか?
プッシュ式と違って少しでも接触不良があると光らなくなってしまうので、性能のいい銅箔テープを使って丁寧に作るのがコツです。
プルタブ式のスイッチをマスターするとより複雑なデザインのものや立体物を作ることもできるようになりますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
今回も静止画だけではわかりづらいところが多いので動画を作ってみました。
おまけ
今回のミニカード、プッシュ式スイッチの場合の回路も載せておきます。
向かって左がプッシュ式、右がプルタブ式の回路です。
今回も、長い記事を読んでくださってありがとうございました。
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